
天然酵母でピザを焼く
初めは酵母まで自分で作るとは考えていなかった和さんでしたが、小麦粉と蜂蜜で酵母を作る方法など、いくつか見つけて読んでいるうちに興味が湧いてきました。そして、小麦粉やライ麦粉と水だけで起こすことができる天然酵母を試しに作ってみたところ、すっかり酵母づくりが大好きに。
今回は「天然酵母”サワードウ”の作り方」と「酵母を使ってピザを焼いたお話」を教えていただきました。
天然酵母”サワードウ“の作り方
天然酵母”サワードウ”を作る工程は4日間。作業は1日1回、ほんの少しです。
サワードウとは
穀物の表面や空気中には酵母や乳酸菌がいます。小麦粉のデンプンが水に触れると、穀物の酵素アミラーゼによってデンプンが分解され、糖類がつくられます。乳酸菌はその糖類を栄養源にして、グルコース(ブドウ糖)やフルクトースなどの糖類をつくります。またそれらを栄養源にして、酵母が増えていきます。これらの発酵の途中に二酸化炭素が生成され、パン生地を膨らませるはたらきをします。こうしてできた酵母のパン種は「サワー種」”サワードウ”と呼ばれます。
このシンプルな方法で作られるサワードウを用いたパン”サワーブレッド”の歴史は太古の昔にさかのぼります。発酵の過程で乳酸菌が生み出す、風味が効いた、素朴な味わいの”サワーブレッド”は、人間が食べるパンの原型といえるかもしれませんね。

サワードウを使って焼くパンは世界じゅうで食べられている(参考写真)
材料
ライ麦粉(全粒粉) 140g
中力粉 100g 灰分量が0.75%~0.9%ぐらいのもの
蜂蜜 10g
水
工程
1日目
ライ麦粉 20g はちみつ 5g (小さじ半分) 水 20cc を混ぜ合わせる。
少しずつ混ぜるように注意。良い酵母を作るには、これがとても重要です。
清潔な布で覆い、24時間休ませる。(室温で)

2日目
前日作ったものに、ライ麦粉40g、水40cc、はちみつ5gを加える。
粉がなくなるまでよくかき混ぜる。これが酵母の "リフレッシュ "と呼ばれるもの。
その上に清潔な布をかぶせます。そして24時間発酵させる。(室温で)

3日目
前日作ったものを大きめのボウルに移し、ライ麦粉80g、水80cc を加える。
手で混ぜる。よくかき混ぜるように注意。
清潔な布をかぶせる。24時間発酵させるために放置。(常温)。

4日目
前日作ったものに、中力粉100g 水100cc を混ぜる。
よくかき混ぜる。
これで出来上がり。
酵母の使い方
分量について:
パンなどを作るときは、小麦粉の重さに対して出来上がった酵母を10~20%使用します。
保存について:
使った残りは冷蔵庫で24時間、48時間、72時間(密閉状態)保存可能です。
前日の作業について:
酵母を使う前日に、リフレッシュをします。
たとえば、200gの酵母がある場合、200gの小麦粉と200ccの水を加え、冷蔵庫で24時間保存して、次の日に使うことができます。
こうしていくと酵母はどんどん増えていきます。毎日パンやピザを作らないとなくなりません。半分を捨てて、その分の小麦粉、水を加えるという方法もあるようです。インターネットにはさまざまな使い方が記載されているのでご参考に。
今までと同じように発酵が進まない、生地の発酵が足りないと感じたら、ハチミツを5g、10g、20gと追加していくと良いです。
参考にしたサイト:
酵母を使ってピザを焼いたお話
パン作りをして残った酵母を使ってピザを作りました。ネット検索で見つかったレシピに自分の好みの具材をいろいろ付け加えて作ったのが、この日のピザです。
別の料理でフェンネルの白い部分を使って、残ったフェンネルの葉っぱを使うピザのレシピを探しました。トマトソースやトマトはもともとのレシピに入っていませんでしたが、「トマトを加えた方がいい」という父の希望で変更に。チーズもカテッジチーズだけではさっぱりしすぎて物足りないので色々足してみました。俄然、味が濃くて美味しくなりました。
ピザ作りは、前日の朝、酵母リフレッシュから
酵母づくりに4日かけ、ピザを作る前日には酵母をリフレッシュ。ピザ生地を作るだけでさらに1日(24時間プラス5時間)かかるのです。とってもスローですね。
酵母は時間がたつと中から空気がぽつぽつ出て、発酵してきているのがわかって面白いです。Eric Kayserが「酵母を育てるのは子供を育てるようなもの」と言っているとおり、大事に作るとそれだけ美味しいものができることを実感します。

レシピ・材料(3人分)
生地
小麦粉 250g
水(ぬるま湯) 162cc
4日間かけて作った天然酵母 38g
ドライイースト 2g
砂糖 小さじ 1
オリーブオイル 7.5ml
食塩 7.5g
具材
カテッジチーズ 適量
KIRIクリーミーポーション 3個
モツァレラ(スライスチーズ) 3枚
オリーブオイル 適量
カゴメ6倍濃縮トマトペースト(18g/袋) 3袋
グリーンピース 適量
アンチョビ 6枚
フェンネルの葉っぱ 1株分
ミニトマト 9個
塩、胡椒 少々
作り方
今回のレシピでは、まず、生地にカテッジチーズ/KIRIクリームチーズ/オリーブオイル/トマトペーストを塗り、そこにフェンネルの葉っぱを細かく刻んだものを載せ、最後にグリーンピース、ミニトマトを半分に切ったもの、アンチョビを加えました。
ピザを食べる予定の前日の朝
大きなボウルにぬるま湯、砂糖、塩を入れ、そこに酵母を手でよく溶かし、オリーブオイル、ふるいにかけた小麦粉を少しずつ加え、全体をよく混ぜる。
生地を台に移し、手で15分以上よく練る。生地は台の上で転がし、ボウル状に丸めて台の上で叩く、この作業を数回繰り返すことで、生地の湿った部分を乾燥させる役目をする。
出来上がった生地を大きなボウルに入れ、ラップで覆い、室温(23度ぐらい)で24時間寝かせる。

ピザを食べる当日
生地を寝かせて24時間経ったら、丸い形に成形し、打ち粉をした天板の上に間隔を空けて置き、さらに5時間以上寝かせる。
オーブンを220度に熱する。
薄く小麦粉をまぶした天板に、生地を端から中央に向かって指先で広げる。
好きな具材を載せ、オーブンで焼く。
家庭用オーブンでピザを焼く場合は、オーブンの一番下の段で最初の12分、さらに上の段で5分ほど焼いて仕上げると良いです。
ピザが焼き上がって、家族で夕飯に
生地が味わい深く、めちゃくちゃおいしかったですよ。家族にも「お店でもこんなピザは食べられない」と喜んでもらえ、時間をかけた甲斐があったなと思いました。
220度で焼くと、具が載っているところは柔らかく焼けて食べやすいですが、具の載っていない部分が乾燥してかなり硬くなります。具材を満遍なく置くなど、焼き方にコツが要りそうです。
また、今回は始めからモツァレラチーズを入れたら、トロトロを通り過ぎて溶けてしまいました。モツァレラチーズは最後の5分ぐらいにオーブンを開けて追加するのが良さそうです。

酵母づくりに興味がある方へ
酵母から作るのには4日かかりますが、1日1回の作業にかかる時間はとても短いです。放っておく時間が長いだけで、材料もいたってシンプル。酵母を使うととても美味しいパンやピザが焼けるので、一度は試してみると楽しいですよ。皆さんも、ぜひ作ってみてくださいね。
参考にしたサイト:
このお話を教えてくれた人
